【横浜・阪東橋】喫茶からカフェへ。街と共存する一人ひとりの居場所「CAFE YOSHIZUMI(カフェ ヨシズミ)」
フードイラストレーター
まるやまひとみ
横浜市営地下鉄・阪東橋駅からほど近く、昔ながらの商店からディープな店までさまざまな顔を持ち、温かい雰囲気と人情にあふれている伊勢佐木町七丁目商店街を抜けた先に佇む「CAFE YOSHIZUMI(カフェヨシズミ)」。
かつて「季節の喫茶 吉住」として石川町の坂の上で営業していた喫茶店だが、2023年8月に閉店。同年12月に「CAFE YOSHIZUMI(カフェヨシズミ)」と名前も新たに第二幕をスタートした。
かけ抜けた数年間、建物の老朽化。経年からくる変化が重なっての閉店だったが、次のステージに立つ一歩は“なんでもない自分に戻ること”だった。
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税込です。
何気ない日々を大切に綴る
揺れるのれん。和の風情に「季節の喫茶 吉住」の面影を感じる。
周囲にはマンションが立ち並んでいるが、目の前が公園ということもあり開放的。
揺れるのれん目印に、近所の人たちがお店にやってくる。
こうした人との距離感や、駅近であることなども、この場所を選んだ決め手だったそう。
周囲が気にならず、自分と向き合う時間を与えてくれる。
入店すると左右にカウンター席。光を取り込む大きな窓と整ったインテリアが居心地よく、肩の力が抜けていく。
移転前、心と体が疲れていたという店主。同じ場所で続けることへの限界を感じ、建物の更新時期に合わせて移転先を考えるも、そうタイミングよくは繋がらなかった。
焦る気持ちを抑えつつ、本当にやりたいことはなんなのかをじっくり考える時間を設けることに。
「とりあえず、一度リセットしよう」数ヶ月悩んだが、やっぱりこの仕事を続けたい。
決意の裏に、家族や友人、通ってくれたお客さんの存在が大きな支えになったという。
コーヒーに合わせて店主が選んでくれる煌びやかなカップ&ソーサー。
店主自身の経験が、この空間を生み出しているのかもしれない。
窓を望むカウンター席は一人で静かに過ごすのにちょうどいい。反対のカウンター席では、コーヒーを淹れる姿や音に触れて。
ただぼーっとするだけのひとときはなによりも贅沢だ。
コーヒーのおもしろさを知ってもらいたい
ブレンドを主軸に、その時々の仕入れで変わるストレート珈琲も楽しみの一つ
開業前に働いていたコーヒー屋でネルドリップの深みにハマり、ネルにしか出せない独特の味わいを追い求めている。
コーヒー豆のラインナップも個性的だ。木更津にある「ブラジル屋」から仕入れており、オリジナルブレンドのほか幅広い豆が揃う。
一般的にネルドリップでは中深煎りから深煎りの豆が使われることが多いが、こちらでは中煎りの豆も扱っている。
固定概念にとらわれることなく、訪れるたびに新しいものと出会える場所でありたいという想いの表れだ。
ポツポツと落ちるコーヒーの音だけが静かに響く
ネルドリップは扱いが難しく、一杯の抽出にも時間がかかる。
一人で店を切り盛りしながら、接客と同時にネルでコーヒーを淹れるのは、決して簡単なことではない。
喫茶時代は、ネルフィルターをドリッパーに装着して抽出するスタイルだったが、カフェではメニューを絞ることで手数を減らし、ネル本来のスタイルである“フィルターの柄を持つ抽出”へと切り替えた。
積み重ねてきた経験が自信となり、「今ならできるかもしれない」と、気持ちに少しずつゆとりができたそう。
どんなに忙しい時でも、コーヒーを淹れる瞬間だけは、心を穏やかに保つことを意識。
手を伝って、コーヒーに気持ちが乗るからだ。そのスイッチはもう自然と入るようになっている。
つい数秒前まで笑い合っていた空間が、抽出が始まると空気がシン…と切り替わった。
研ぎ澄まされた佇まい、手の動き、水の流れ。その一連の所作には、茶道にも似た美しさがあり、ただただ見つめてしまう。
この空気感は、以前と変わらない。私も穏やかな気持ちになったところで、スイーツとともにゆっくりと堪能するとしよう。
シンプルを極めた誠実なおいしさ(イラストあり)
illustration by まるやまひとみ
今回いただいたのは
●チーズケーキ ¥600(税込)
●本日のストレート珈琲 ¥1,100(税込)
豆は「メキシコ オールド2011 カサンドラ農園」を。
なかなか出会えないオールドビーンズ、中煎りでチーズケーキとの相性も良いとのこと。
カップ、皿ともに有田焼。
“隠れた名品”と店主も太鼓判を押すチーズケーキ。季節の自家製ソースを添えることで表情を変える。この日添えられていたのはミックスベリーのソース。
艶やかな乳白色にワインレッドが華やか。見た目にも味にもメリハリがつく甘酸っぱいひとさじ。爽やかな後口が印象に残るチーズケーキは、湯煎焼きで濃厚さとなめらかさのちょうどいいバランスに仕上げている。
カップの飲み口がコーヒーの繊細な舌触りを連れてくる。
コーヒーを口に含むと一気に香りがふくらみ、苦味とも違うスパイシーな風合いが口内をやさしく包み込む。角の取れた豊満な味わい、甘く香ばしい余韻。
ネルドリップでこの透明感はどうしたら出るのだろうか。
鼻に抜ける香りを感じながら、チーズケーキをひと口。酸味と甘味が一本に繋がる最高のペアリング。やはり今は考えるよりも大切に味わっていよう。
飲み終わるとしだれ桜が。すんと寒い冬の日に、ひと足早いお花見。
毎日違っていいんだ、と気づいて。
ドリップバッグやクッキーなどをお持ち帰りしおうちでYOSHIZUMI。
どんなに同じ材料、同じ量、同じ温度で作っても、まったく同じものはでき上がらない。
気温、湿度、自分の感情。これらは毎日違い、違うのが当たり前。人の手から作られるというのは、そういうことなのだろう。こう思うと心が楽になり、失敗すら楽しいと様々なメニューに挑戦をしている。
一方で「季節の喫茶 吉住」で人気だった定食をやめたりと、自分の手の行き届く範囲で無理をせず、やめるのも前進として受け入れた。下町情緒が残るこの街には、昔ながらの飲食店がたくさんある。
食事は長年のプロに任せ、「CAFE YOSHIZUMI」ではゆったりと流れる時間の中でコーヒーやスイーツに親しんでもらいたい。
違ってもいい、変わってもいい。すするコーヒーと、カトラリーのこすれる音だけが響く静かな時間に心をゆだねて。
SHOP INFORMATION
| SHOP | CAFE YOSHIZUMI(カフェ ヨシズミ) |
|---|---|
| https://www.instagram.com/cafe_yoshizumi/ | |
| ADDRESS | 神奈川県横浜市中区伊勢佐木町7-155-10 プレシエ伊勢佐木町101 |
| OPEN | 13:00〜19:30(L.O.19:00) |
| CLOSE | 火、水曜日 |
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