黄金色に輝く美しい佇まい
パティスリーがひしめく吉祥寺界隈で、長年スイーツマニアをうならせ続けているのが1996年にオープンしたレピキュリアン。金子哲也シェフの哲学が隅々まで染み渡る、大人のためのパティスリーだ。
なかでも店名と同じ名前を冠した「レピキュリアン」は、シェフの信念を象徴するかのような一品。
ひとことで説明するとりんごのシブーストなのだが、言葉では表現しきれない複雑な魅力が宿っている。ちなみにシブーストというのは、クレーム・シブースト(カスタードクリームにメレンゲを混ぜて作ったクリームのこと)を用い、表面を焦がしたカラメルで覆ったフランス発祥のケーキの一種。レピキュリアンではりんごとタルト生地を用いて、シンプルながらも味わい深く仕上げてある。
ドラマティックなケーキ体験
そのまま飾っておきたくなるような美しいケーキの佇まいに見とれつつ、胸ときめかせながらフォークを入れる。砂糖を焦がしたカラメル部分がカシュッと崩れる音がかすかに響く。上層のクレームシブーストは軽やかできめ細やかながら、しっかりとしたコクが舌を喜ばせてくれる。
下部のフランは、生クリームと卵黄のなめらかで濃厚なコクがたまらない。ふたつのコクの組み合わせの妙に陶酔しているところへ、予想以上にしっかりとしたカラメルの苦みが全体をガツン!と引き締めてくれる。さらに甘酸っぱい煮りんごと色鮮やかなフランボワーズが奥深いハーモニーを引き出し、いろんな深さの味わいが波のように次々と舌の上を訪れる。
めくるめく初めてのケーキ体験に頭の中もクラクラ……。最後のひとくちを飲みこんでふと我に返ると、同じ場所にずっといたにも関わらず、まるで長い旅に出ていたような気分。お菓子をいただくといういつもの行為が、こんなにドラマティックなものだったなんて!幸せな発見だらけの、哲学的なひとときでした。
SHOP INFOMATION
NAME | レピキュリアン |
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ADDRESS | 東京都武蔵野市吉祥寺南町1-9-5 |
TEL | 0422-46-6288 | OPEN | 10:30〜19:00(サロンは18:30LO) |
CLOSE | 水曜定休(不定休あり) |
※他、臨時休業する場合があります