自由が丘のビーントゥバー「マジ ドゥ ショコラ」。カカオ産地との絆を感じるハートフルなチョコレート
創り手を訪ねる取材ライター
Yui Ichihara
おしゃれな路面店が立ち並ぶ東京・自由が丘。
ここでビーントゥーバーショコラトリーとして注目を集めるのが、オーナーシェフ・松室和海(まつむろかずうみ)さん率いる「MAGIE DU CHOCOLAT(以下、マジ ドゥ ショコラ)」です。
「ビーントゥーバー」とは、カカオ豆からチョコレートになるまでの全工程を自社で一貫して行う製造スタイルのこと。手間や時間・技術を要しますが、上質で特別感のあるチョコレートが生まれ、持続可能な社会を目指すうえでも意義があるとされています。
「マジ ドゥ ショコラ」が「ビーントゥーバー」である理由とは。オーナーシェフと個性豊かなチョコレートを訪ねました。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込です。
目次
産地別のカカオの味わいを楽しむショコラトリー
そもそも、私たちが食べるチョコレート菓子はどのように作られているのでしょうか。
一般的なチョコレート菓子は、メーカーから仕入れる製菓のための業務用チョコレート(クーベルチュール)を使いお菓子が作られます。そのため、チョコレートを販売する店とカカオ豆の生産者が直接関わることはほぼありません。
一方「マジドゥショコラ」は全てではないものの、生産地で直接生産者からカカオ豆を買い付けてチョコレート菓子を製造しています。
感度の高い人たちが訪れる自由が丘を拠点に。イートインスペース(写真右下)の壁には、松室さんが関わってきたカカオ生産地の世界地図が
「カカオはフルーツなので、産地や季節ごとで味わいが変わります。そこが難しさであり、おもしろさでもあるんです」と松室さん。
こうした繊細な変化や産地由来の特徴を“個性”として活かすのが「マジドゥショコラ」のチョコレートです。その味は日本人はもちろんのこと、フランス・パリの「サロン デュ ショコラ」に出店した際も現地の人を唸らせました。
そんな特別なチョコレートの中から、CAKE.TOKYO注目のラインナップをご紹介します!
贅沢なチョコレートサンド「マジ ド カカオ」
人気No.1のチョコレートサンド「マジ ド カカオ」(各¥520)。フレーバーは全部で8種類あります。
ウッディなパッケージがおしゃれ
しっとり口どけのよいチョコレートを、卵・砂糖・バター・小麦粉だけで焼き上げた濃厚で風味豊かなクッキーでサンド。
クッキー生地は卵の水分だけで練りこむため「さっくり」としていて、「なめらか」なチョコレートとの極上の調和を楽しめます。
この厚み、食べ応え抜群!
いただいたフレーバーは、ミルクチョコとキャラメルが上品に混じり合う「ミルクキャラメル」、ほろ苦さのバランスがいい「宇治抹茶」、ザクザク食感と力強いナッツ感の「ミルクピスターシュ」、ミルキーで香り高い「ラムレーズン」。
どれも魅力的で全種類制覇したくなります。
新感覚の半生チョコスフレ「マジ ドゥ ショコラ」
店名を冠する「マジ ドゥ ショコラ」(各¥530)は、ガナッシュをオリジナル製法で焼き上げた新感覚スイーツ。
生チョコともガトーショコラとも違う、繊細で柔らかいスフレ食感が楽しめます。
左から「タンザニア75」「ガーナ63」「パプアニューギニア36」
松室さんによれば「なめらかな口どけにすることで、カカオ豆の味の違いがわかりやすくなる」とのことで、贅沢にも「ガーナ63」「タンザニア75」「パプアニューギニア36」を食べ比べました。
ちなみに商品名は、カカオの産地とカカオの配合比率を意味します。
「ガーナ63」は日本人にとっては馴染みのある味わいで安心感があります。「タンザニア75」は酸味とビター感が特徴的で、カカオの多様性を実感。「パプアニューギニア36」はマロンを彷彿とさせるまろやかな甘みとコクがありました。
絶妙な半生感が、リッチな口あたり
まだまだ熱い!第4のチョコレート「No.4 ブロンド」「No.4 ルビー」
ミルク、ビター、ホワイトに続く第4のチョコレートとされている「ブロンド」「ルビー」を使った生チョコレート「No.4」(¥1400/8個入り)。
「マジ ド カカオ」に次ぐ人気商品です。
色鮮やかなバイカラーがかわいい!
「No.4ブロンド」は、焦がし製法によるキャラメル風味のブロンドチョコレートとビターチョコレートの二層。
「No.4 ルビー」はベリーのようなフルーティーな酸味と香りが特徴で、カカオ豆由来の色合いが美しいルビーチョコレートとホワイトチョコレートの二層。
どちらもそれぞれの味を引き立てています。
斬新なカカオドリンク!「ショコラショー」「カカオパルプスムージー」
スイーツと一緒にドリンクも楽しんでみては。
ホットチョコレートの「ショコラショー エクアドル」(¥750)は、ジャスミンのような香りが漂い、軽やかで飲みやすい一杯です。
エクアドルの他、ガーナ、ベネズエラと別産地のフレーバーもある
また、興味をそそられるのが「カカオパルプスムージー」(¥850)。
カカオの実を包む「パルプ」と呼ばれる白い部分を使ったジュースです。チョコレートに使用されるのはカカオの「種」の部分ですが、それ以外はどんな味がするのか……なんて多くの人は想像したこともありませんよね。
「カカオパルプスムージー」はトロッとした食感とライチのような味わいが爽やかで美味!
これがカカオそのものの味ですよ、と松室さんが教えてくれました。
カカオパルプを味わう貴重な体験……クセになりそう!
もはや「ツリートゥバー」。生産者と切磋琢磨してこそカカオは輝く
オーナーシェフの松室さんは、以前ビーントトゥバー先駆けのチョコレート専門店に勤務していました。
独立のきっかけは、ダイレクトトレード(直接取引)でカカオ豆の生産者とより深く関わりながら、カカオの魅力を追求するためでした。
ブランドの核心に触れる部分を惜しげもなく話してくれる松室さん
「生産者から購入するだけではなくて、彼らにより良いカカオ豆の生産方法を教えて、一緒に品質を高めていきたいんです。彼らが作っているカカオ豆が世界基準で一体どのくらいの物なのか、それを確認していただいて、一緒に改善点や品質向上の方法を考えています。そうすれば、販売価格もきっと上がりますし、直接取引で中間業者がいない分、生産者に利益が多く渡ります。さらに発酵や乾燥、焙煎の仕方で味がかわるのがカカオのおもしろさなので、そこに直接関わることも大事な目的でした。」
品定めをするだけではなく、カカオの木の栽培、カカオ豆の発酵、乾燥、焙煎、販売方法まで幅広く指導し、根底から変えていくのが松室さんのスタイル。
生産者との絶対的な信頼関係が感じとれます。
「最初はケンカからスタートするのが大半ですけどね(笑)。彼らの間違いを指摘しなければならないので。でも思いが伝わって、一緒にやりたい!と言ってくれるところもちゃんとあります。今一緒にやってる農園さんには感謝しかありません」。
店内には生産者たちの写真が飾られており、両者の絆を実感する
松室さんが訪れる国は、安全なところばかりではありません。
現地でのお話を聞く中では「防弾チョッキを着ないといけない」「ボディガードが10人くらいついた」「秘島の民族と交流するために特殊な儀式をした」……などデンジャラスな経験も。ショコラティエの域をこえて、トレジャーハンターのような生き様です。
「もはや“ビーントゥーバー”というより“ツリートゥバー”です(笑)。半分遊びみたいな感じですよ。好きでやってますから!」。
カカオへの探究心は、まだまだ尽きない……!
「最終的には、日本メイドのチョコレート(製菓の原材料)を海外に売り出すことが目標です。生産者とこれからも、おいしくて上質なカカオ豆・チョコレートを突き詰めていきたいです」。
「チョコレートの魔法」で関わる人すべてを笑顔に
フランス語で「チョコレートの魔法」を意味する「マジ ドゥ ショコラ」。
カカオ豆の生産者からお客さんまで、関わる人全てを笑顔にしたいという思いが込められています。
チョコレートはこれからがトップシーズン。
バレンタインデーはもちろん、何気ない一日をも明るくする「チョコレートの魔法」にかかってみてはいかがでしょうか。
SHOP INFORMATION
SHOP | MAGIE DU CHOCOLAT(マジ ドゥ ショコラ) |
---|---|
WEBSITE | https://magieduchocolat.jp |
ADDRESS | 東京都世田谷区奥沢6-33-14 1F |
TEL | 03-6809-8366 |
OPEN | 10:00〜19:00(カフェL.O 17:30) |
CLOSE | 火曜日 |
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