「心」を感じる温もりのあるモノやお店、ものづくりに情熱を持つ人たちを大切にしているイベント『もみじ市』が、今年も9月17日、18日に開催されます。10回目の開催となる今年のテーマは「FLOWER」。今回、手紙社さんにご紹介していただき、開催より少しだけ早く、もみじ市の出店者の方々にお会いしてきました。第4回は、『カオリーヌ菓子店』です(18日のみ参加)。
カオリーヌさんのチーズ愛から生まれた「ブルーチーズのチーズケーキ」
チーズ研究家のかのうかおりさん(以下:かのう)さんがネット販売を中心に運営している『カオリーヌ菓子店』。チーズに魅せられたカオリーヌさんのつくるケーキは、コーヒーや紅茶だけでなく、ワインなどのお酒にも合うんです。
今回、もみじ市で提供予定のケーキは、看板メニュー「ブルーチーズのチーズケーキ」。もみじ市では、12㎝のホールケーキの4分の1サイズを、税込650円で販売する予定です。
ブルーチーズといえば、チーズの中でも独特の香りや味わいが印象的な種類。お菓子に使われることは多くないと思っていました…。ただ、かのうさんがこの「ブルーチーズのチーズケーキ」をつくった背景には、強い思い入れがありました。
かのうさんチーズには本当に魅力があるので、それをもっと多くの人に知って欲しいと思っています。チーズって身近なようで、日本人には馴染みがないように感じます。ピザやグラタンに使うもの、という認識が強いんじゃないでしょうか。だからこそ、苦手な人が多いブルーチーズのケーキからつくり始めてみたんです。
数々の試作を、お菓子の先生や知人など100人以上の人に食べてもらって誕生したのが、現在の「ブルーチーズのチーズケーキ」なのです。
かのうさんは、チーズに関する資格を多数所有しているエキスパートです。お菓子づくりの傍ら、チーズの専門家としても活躍しています。
「ブルーチーズのチーズケーキ」に使用しているのは、デンマーク産のブルーチーズ。青カビが持つ刺激の強い香りと、コクのある濃厚な味わいが特徴です。
黒いこげこそ大成功、バスクチーズのチーズケーキ
また、もみじ市では「ブルーチーズのチーズケーキ」と並んで『カオリーヌ菓子店』の定番である「バスクチーズケーキ」も手に入れることができます。
見た目は、黒くこげていて失敗作のように見えますが、実は大成功。この黒いこげこそが、このチーズケーキの重要ポイント!さわやかなこげ味が底生地のような役割を果たしているのです。看板商品の「ブルーチーズのチーズケーキ」同様に、もみじ市で味わってみてほしいです。
クリームチーズの大きなかたまりをカットし、たっぷりと生地に使用している「バスクチーズケーキ」は、カオリーヌさんがバスク地方を旅していたときに出会ったチーズケーキを参考につくったもの。
クリームチーズ、卵、砂糖などを加えて混ぜ合わせていきます。
他には、新作の「リコッタのチーズケーキ」も販売します。
「リコッタのチーズケーキ」は、取材時はまだ製作前。もみじ市に出品するのも初めてのケーキだそうです。ぜひ、会場で味わってみてください。
単身ヨーロッパへ。チーズの本場での体験を落とし込んだチーズケーキ
もともと、丸の内の大手企業でOLとして働いていたかのうさん。お菓子づくりは子どもの頃から大好きで、働きながら夜間の専門学校に通っていたほど。チーズとの出逢いは、そんなときに訪れます。
かのうさんチーズとワインを学びたくて、まずはチーズの知識から身につけようと思いました。専門店に足を運んだり、講座に通ったり…。美味しさに魅せられてハマったチーズの世界でしたが、だんだんと本場を知りたいと思うようになっていったんです。
こうして、カオリーヌさんのチーズ愛は、本場のヨーロッパにまで足を向かわせました。
かのうさん当時新婚だった主人にお願いをして、1年間フランスに行く決心をしたんです。その間、チーズ農家さんやチーズの専門店で働いたり、フランスとイタリアの国境にあるサヴォワ地方で美味しいチーズを探し求めたりして、ヨーロッパの地域をぐるっと見て周ってきました。
フランス・アルプスの麓にある長期熟成チーズ作りが盛んな町・アルシーで、働かせてくれるチーズ農家さんを探すところからはじめたのだそう。その行動力には驚きです!
かのうさん行き当たりばったりで渡ったフランスでしたが、チーズ農家さんではヤギの世話から経験し、どんな風にチーズがつくられていくのかをゼロから学ぶことができました。
チーズって、日本でいうと「漬物」みたいなもの。つくる人によって微妙な違いがあるんです。今でもお菓子に使うチーズ選びには強いこだわりがあって、実際に生産者さんに会いに行くこともあります。
本場のチーズの知識を身につけたカオリーヌさんが目指すのは、チーズ本来の旨味を損ねず、シンプルで力強いお菓子です。
かのうさん日本に戻り、チーズを広めるための講習会などを開催しました。それでも参加者に魅力を伝えられていないように感じていたんです。そこで、お菓子でチーズの「啓蒙活動」をしようと思いました。
実は、フランスにはチーズケーキってほとんどないんです。日本にもチーズの魅力が本当に伝わるチーズケーキがなかったので、じゃあ自分でつくってみようかなって。
チーズケーキをつくる際には、カオリーヌさんが目にしてきたチーズの産地を頭に思い描いていると言います。
かのうさんバスク地方の雰囲気や、リコッタチーズの本場であるシチリアの強い陽射し、緑の草原で、ヤギが草を食べている様子…。そんな情景をイメージしながらケーキをつくることで、その場所に行ったことがある人に、当時の思い出や情景を思い出してもらえるようなお菓子をつくっていきたいです。「旅するチーズケーキ」のような感覚で楽しんで頂ければと思います。
もみじ市でのチーズケーキの購入は、開場後1,2時間がオススメ
最近は子育てのため活動を減らしていたかのうさん。もみじ市への出店は4回目ですが、久々の出店とのこと。会場に足を運ぼうと考えている読者の方々に、メッセージをいただきました!
かのうさん食べ物の出店がそれほど多くないこともあって、もしかしたら最初の1、2時間で全て完売してしまうかもしれません。当日は、早めに来ていただけたら嬉しいです。
もみじ市への出店時には、毎回大人気の『カオリーヌ菓子店』のチーズケーキ。本場の旅するチーズをお菓子で味わうことができる、またとない機会です。