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【神奈川・小田原】「VAGABOND(ヴァガボンド洋菓子店)」の繊細で美しいアップルパイ

UPDATE:

WRITER

若松渚

2024年11月にオープン1周年を迎えた「VAGABOND(ヴァガボンド洋菓子店)」。
シンプルな味わいと洗練されたデザインが魅力のお菓子は、オープン当初から話題を呼びました。今回は、人気のアップルパイやおすすめのケーキをご紹介するだけでなく、お店を開くことになった経緯や今後の展望について、店主の原祐司さんに語っていただきました。

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税込です。

目次

アットホームでモダンな一軒家のお店

閑静な住宅街にたたずむ「VAGABOND(ヴァガボンド洋菓子店)」は、小田原駅から徒歩約17分。スタイリッシュなお店は一軒家をリノベーションしているため、アットホームなあたたかさが感じられます。

VAGABOND(ヴァガボンド)は「放浪者」「さすらい人」などを意味する言葉

障子を活かしたレトロモダンな店内。かしこまらずに、くつろいだ気持ちでケーキを選ぶことができます。

ドライフラワーや照明が空間のアクセント

イートインスペースは、テーブル席がひとつ。ドリンクの注文もできるので、待ちきれない方はこちらで満喫しましょう。

窓から入る光が明るい

シンプルなおいしさと洗練されたデザインが魅力のケーキ

まずご紹介するのは、人気の「ショソンポム」。
「ショソンポム」は、フランスの伝統的なアップルパイのひとつで、“ショソン”は「スリッパ」という意味なのだそう。かたちがスリッパに似ていることから名付けられましたが、繊細な見た目は惚れ惚れするほど美しいです。

ショソンポム¥580(税込)

「いくらでも食べられるようなアップルパイを目指しています」と店主の原祐司さん。「リンゴの甘みや香りが強いと食べ飽きてしまうから、酸味が強くて甘みの少ない品種を選んでいます」と話し、取材時には、旬を迎えた紅玉を使っていました。

パイ生地は、ほろほろとした繊細な食感で、ほんのり塩が効いているのがポイント。
通常のパイ生地はバターを生地で包んで折り込んでいきますが、「VAGABOND」のパイ生地は、技術と手間が必要な逆さ折りパイ生地で、生地をバターで包む製法なのだそう。
リンゴの自然な甘みと、ほろほろ崩れるパイ生地が絶妙にマッチした、シンプルで豊かな味わいが楽しめる一品です。

オペラ¥700(税込)

カラフルな断面に目を奪われる「オペラ」。原さんは、「自分が食べたくて作りました」と語ります。
ラズベリー、ピスタチオ、チョコレートが層をなす色彩豊かなケーキは、シンプルで軽やかな味わい。
生地にはライチのお酒を効かせたシロップが少量入っており、ほのかなライチの香りを楽しめます。

オペラは、原さんがパティシエをしていた頃に勤めていた鎌倉のケーキ屋で、一番好きだったお菓子だそう。当時作っていたオペラのレシピを基にしていますが、原さんが理想を追求してアレンジを加えた、大人の贅沢を感じられるケーキです。

パリブレスト¥580(税込)

原さんおすすめの一品は、フランスの伝統的なお菓子である「パリブレスト」。しっかり焼いたシュー生地は硬めの食感で、時間が経ってもふやけないのがポイントです。アーモンドのカスタードクリームは、コクと風味が口いっぱいに広がるなめらかな仕上がり。香ばしいアーモンドスライスとチョコチップのカリッとした食感も楽しめます。

ミルフィーユ¥560(税込)

厚みのあるパイ生地が特徴的な「ミルフィーユ」。ほろほろ食感のクッキーのようなパイ生地は、ショソンポムと同じ逆さ折りパイ生地を使っています。濃厚なバタークリーム、フレッシュでさわやかな木苺、食べ応えのあるパイ生地の組み合わせが調和したリッチな味わいが魅力です。(フルーツは季節によって変わります)

なお、イートインスペースでは、小田原にある老舗焙煎所「スズアコーヒー」の「ビターチョコブレンド¥500(税込)」と「カフェラテ¥600(税込)」を堪能できます。

豊富にそろう焼菓子は、おみやげにも最適

「何のために飲食の仕事をするのか」を問い直した海外生活

「VAGABOND」を開く前は、インドネシアのジャカルタで寿司を握っていたという原さん。
「パティシエ、料理、ソムリエなど、飲食業界でいろいろな経験をしてきましたが、自分の好きなことをただやり続けてきて、今があるという感じ」と語ります。
小田原のレストランに勤めていた時、先輩の紹介でジャカルタへ行くことになりましたが、海外での仕事は面白みに欠ける部分もありました。

原さんが感じる仕事の面白みとは、おいしいものを出して、お客さまに喜んでもらうこと。
ですが、ジャカルタのお店では、お金持ちの人たちがステータスのために来店したり、唐辛子を入れた辛い醤油で寿司を食べたりしていました。「おいしいから来ているわけではない」と感じた原さんは、「自分は何のために飲食で働いているのか」を改めて問い直したそうです。

そして、日本で自分のお店を開くため、2023年2月に帰国。以前勤めていた小田原のレストランの事務所がほとんど使われていない状態だったため、社長に直接相談し、物件の使用を許可されただけでなく、お店のデザインや内装まで手伝ってくれました。

さまざまな経験のある原さんが、自分のお店を洋菓子店にした理由は、「駅から少し離れた住宅街にあって広さもないので、レストランやカフェよりもケーキ屋がいい」と考えたからだそうです。

店主の原祐司さん

小さく始めたお店でしたが、シンプルで飽きのこないおいしさと美しいデザインのケーキが人気を呼び、オープン以来たくさんのお客さまが訪れ続けています。
手狭になってきたと感じることも増え、「将来的には、もう少し広いお店に移転することも考えています」と、原さんは語ります。
さらに、現在は、週末のみ接客のアルバイトさんが来ていますが、今後はお菓子を作れる人の採用や、ECサイトの活用など、さらにお店を広げていきたいそうです。

いくつもの点が線となり生まれた「VAGABOND」。新たな線を引くために、原さんはこれからも自分の好きなことに向き合い続けます。

SHOP INFORMATION

SHOP VAGABOND(ヴァガボンド洋菓子店)
Instagram https://www.instagram.com/vagabond.seika
ADDRESS 神奈川県小田原市本町4-2-22
OPEN 11:00~19:00(生菓子は無くなり次第終了)
CLOSE 水曜日、木曜日(不定休あり)

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